2018-11-01から1ヶ月間の記事一覧

『弁』 第二話

北方の大国・燕。 東に遼東・朝鮮、渤海を囲んで南は易水へ至る。 しかし国土の南方には秦に次ぐ強国・斉が鎮座し、虎視眈々とその領地を狙い奪っては抗争が絶えない。 ましてや西には三晋(※韓、魏、趙の三国)を敵に回し、その先に強豪国・秦の脅威が差し迫…

姓は蘇、名は秦。洛陽の人。 幼い頃より弁が立ち、年長の大人すら理路整然と論破する程であった。 「俺は口先の魔術師。その場しのぎの天才だ」 斯く自負する通り、弁舌に天賦の才があった。 しかし舌先三寸、その時々に都合良く如何にも尤(もっと)もである…

三國無双8で巡る中国の世界遺産!🇨🇳🐼🎍

1.万里の長城 国境を守る防御壁いわゆる長城は、春秋戦国時代を通して各地に築かれました。 中華統一を達成した秦の始皇帝はこれらを一つに繋ぎ合わせ「万里の長城」として再構築します。 北方遊牧民への積極攻勢に出た漢の武帝による修復延長などを経て、…

ツイ。 140字のツイートに描き出す、広大無辺の大世界がある。 このツイの道に、天下第一の大成を果たさんと志す一人の文人がいた。 己の師と頼むべきアカウントを物色するに、ついに、当今ツイにおいては並ぶ者なき人傑にあたる。 師に付き、学び、ふぁぼRT…

徐晃伝 四十四『兵法の極意』

魏軍が動いた。 大将は、徐晃。 水没し、関羽の大軍に囲まれた樊城へ向かう。 先鋒は副将・趙儼(ちょうげん)。 増援を率いて駆け付けた徐商、呂建の両将が左右に展開する。 陽陵坡(ようりょうは)の要衝まで進み出ると、ついに魏蜀は戦線に対峙した。 眼前に…

徐晃伝 四十三『反撃の狼煙』

情報伝達は戦の要。 軍議を重ねて、徐晃は諸将に語る。 「何よりも肝要は、籠城する味方と連絡を密にする事でござる。 何としても樊城の曹仁殿と通信すべく、活路を拓かねば!」 兵らを休ませるうちも徐晃は、休まず頭を働かせた。 「この道は通れぬ。ここ…

徐晃伝 四十二『死中に活』

樊城(はんじょう)。 外周一帯は水没し、籠る魏軍に逃げ場は無い。 揚々と意気盛んなる関羽の荊州軍がこれを幾重にも包囲し、糧道を断った。 魏兵は飢えと病に弱る。 守将・曹仁はそんな麾下の将兵を見やり、顔を歪める。 「・・・もはや軍の体(てい)を成してお…

徐晃伝 四十一『急造軍』

兵が足りない。 先に、水龍の顎(あぎと)に飲まれた于禁ら七軍は虎の子であった。 漢中・合肥の戦線も含め三方面、方々に作戦を強いられる魏軍にとって、荊州への動員兵力はもはや限界に達している。 単騎、宛城へ先駆けた徐晃はそこで将・趙儼(ちょうげん)…

徐晃伝 四十『宿命の戦場へ』

漢中から撤兵する魏軍の中に徐晃もいた。 雨が降りしきる。 兵の歩く道には泥が跳ね、足取りは重かった。 勝利を掲げて都への凱旋とはゆかず、戦略的な撤退である。 (・・・拙者の武、もっと高みへと届いていれば。 夏侯淵殿も、お味方も犠牲は少なく、勝ち戦…

徐晃伝 三十九『陽安関の戦い』

山険に鎮座する巨大な関門。 石造りに積み上げられた城壁は高く聳(そび)え立ち、何者をも寄せ付けぬ堅牢な要害を成している。 正面、巨大な鉄の門は固く閉ざされ、『陽安関』の文字が堂々と大地を見下ろしていた。 壁上にズラリと蜀軍の弓兵が構え、眼下に…

徐晃伝 三十八『急転直下』

馬鳴閣の街道へ進出した蜀将・陳式は、軍師法正の戦略眼に感嘆した。 「主戦場より遥か北西、この馬鳴閣は漢中と中原を結ぶ喉元にあたる。 ・・・山険の攻防にばかり目を取られていたが、これは妙手よ」 敵と戦って討ち破るだけでなく、軍を迂回させ敵を包囲す…

徐晃伝 三十七『反攻の糸口』

徐晃。 一軍の将である。 漢中の険しい峰々を眺めやり、歯痒い思いを抱いていた。 (攻めの手が今一つ、掴め申さぬ・・・) 蜀の劉備との山岳戦は長期に及んでいた。 軍師・法正は執拗に魏軍の弱点を炙り出す巧みな采配で、徐々に、戦局の帰趨を掌握してゆく。…