三國無双8で巡る中国の世界遺産!🇨🇳🐼🎍
1.万里の長城
国境を守る防御壁いわゆる長城は、春秋戦国時代を通して各地に築かれました。
中華統一を達成した秦の始皇帝はこれらを一つに繋ぎ合わせ「万里の長城」として再構築します。
北方遊牧民への積極攻勢に出た漢の武帝による修復延長などを経て、しかし後漢末には政情不安から放棄され、各所は荒涼としています。
2.泰山
三皇五帝時代より歴代の帝王が封禅(天子即位)の儀を執り行ったとされる中華随一の名峰・泰山。
華北平原を見降ろす壮大な絶景は「五岳独尊」と称され、中国史上最も重要な自然遺産かつ文化遺産として無二の顕著な価値を有します。
秦の始皇帝、前漢の武帝、後漢の光武帝らもこの泰山で封禅を行いました。
3.黟山(いざん)
険峻な黟山の峰々と雲海が織り成す独特の景観は、まさに仙境の趣き深く後世には多くの水墨画や漢詩の題材となりました。
断崖絶壁の怪石、雄大な雲海、天然温泉、岩間に生える奇松は特に「四絶」と讃えられます。
伝説上の黄帝が不老不死の霊薬で神仙となった伝承から後世「黄山」と称されました。
4.九寨溝
岷山山脈より流れ込む石灰岩成分の沈殿により、極度に透明度の高い湖水が青や黄色、緑色の貌を覗かせる九寨溝。
鮮やかな紅葉が美しく映え、神秘的な景観を生み出しています。
五花海を臨むY字状の谷を中心に雄大な瀑布が形成されて、数多くの湖沼が棚田状に広く連なっています。
5.黄龍
玉翠山の深い森に覆われた渓谷、黄龍溝。
3億年前まで海の底だった為に珊瑚の堆積で石灰岩層が形成され、長い時間をかけて雨水の浸食、石灰華の沈殿によりカルスト地形が生まれました。
エメラルドグリーンの美しい湖水と黄金色の石灰棚が織り成す幻想的光景は、伝説上の神獣・黄龍の鱗に例えられます。
6.武陵源
高さ200mを超える巨大な岩の柱が3000本以上立ち並ぶ奇跡の絶景、武陵源。
多量の二酸化珪素を含む珪岩が数億年の歳月の間に地殻変動による隆起、風雨の浸食を受けて今日の雄大で荘厳な景観を生み出しました。
漢代に設置された荊州武陵郡の山奥深くは、三国時代には今だ一般に周知されていない秘境です。
7.廬山
司馬遷の『史記』にも讃えられた風光明媚なる廬山の景観は、「匡廬奇秀甲天下」(廬山の奇秀は天下一)と称され、古代より多くの著名文化人が題材として詩歌芸術を生み出して参りました。
東に望む鄱陽湖は中国最大の淡水湖で、魚類の宝庫。
多様な渡り鳥の生息地としても貴重な生態系を育んでいます。
8.武夷山・九曲渓
南北約550kmに及び、中国大陸東南部の最高峰・黄崗山を主峰に戴く秀麗無比なる武夷山脈。
赤く切り立った崖や柱のような峰々が36も連なり、その山間を分ける渓谷に全長7kmの川が幾度も曲がりくねって沿う壮大な景観は、"九曲渓"の名で知られる山水の名勝です。
9.青城山と都江堰
古代の灌漑施設・都江堰。
青城山から流れる川の氾濫に苦しむ民を救うため、戦国時代に秦の李冰(りひょう)が建設しました。
この恩恵で蜀の地は肥沃な大穀倉地帯へと変貌を遂げ、首府・成都の繁栄を導きます。
後世、諸葛亮も都江堰の整備を内政の重要課題と位置付け、管理政策を徹底しました。
10.四川ジャイアントパンダ保護区群
約800万年前に登場したジャイアントパンダの祖先は、中国大陸固有の種として広く生息し独自の進化を遂げました。
古くは前漢の史家・司馬相如の『尚林賦』に竹を食べる白黒の熊として、宮廷の庭で飼われていた記述が伺えます。
豊かな竹林が広がる四川地方には、多くの野生パンダが生息していました。
11.中国南方カルスト
雲南石林、桂林をはじめ中国南方に拡がるカルスト地形の絶景の数々。
かつて海底だった一帯に海洋生物の化石が数億年に渡って堆積し続け、石灰質の地層を形成しました。
風雨に溶解しやすい石灰岩は長い歳月をかけて浸食を受け、尖塔状の石林(タワーカルスト)と呼ばれる独特の景観を生み出しています。
12.五台山
東西南北中央、五つの峰々から成る仏教の聖地・五台山。
中国への仏教伝来は後漢期と目され、孫策と争った群雄・笮融(さくゆう)による揚州での布教は中国仏教発展の礎を築きました。
後世、北魏の時代から栄え300以上もの寺院を擁した五台山ですが、三国時代にはまだ小さな寺が一つ佇むだけの様子です。
13.丹霞山
赤みがかった地層が幾重にも分かれ、林立する断崖絶壁を美しく彩る丹霞山の奇景。
川の流れに運ばれた鉄分やマンガンを含む赤い礫岩が、長い歳月をかけ堆積し湿潤な多雨に削られて独特の景観を形成しました。
丹(あか)い霞のように美しいこの模様は、中国南部の亜熱帯性気候が生み出した天然の芸術です。
14.嵩山(「天地の中央」にある登封の史跡群)
後漢の都・洛陽を見下ろす霊峰・嵩山は、古代より中華思想における天地の中心として崇拝されてきました。
秦、漢の時代に建てられた霊廟や闕(けつ)をはじめ、伝説上の周公旦が天文を測ったとされる観星台、仏教寺院や儒教・道教の書院など歴史的建造物が山険の中腹・登封の地に残っています。
長安を起点として中華文明と西域諸国を繋ぎ、果ては地中海世界、ローマ帝国にまで至る遠大な東西交易路・シルクロード。
前漢の武帝による西域進出は、天山山脈を経てトルキスタンへ通じる回廊の道を切り拓きました。
三国時代にも西域に依る羌族・氐族が中原の諸侯と交わり、影響を及ぼしています。
【参考文献】
・『万里の長城』長城小站編著、馮暁佳訳
・『尚林賦』司馬相如
・『くわしく学ぶ世界遺産300』世界遺産検定事務局著、NPO法人世界遺産アカデミー監修
・『地球の歩き方 成都 九寨溝 麗江 四川 雲南 貴州の自然と民族』地球の歩き方編集室編集
・『中国の歴史』陳舜臣