2017-04-01から1ヶ月間の記事一覧

『源太左衛門~真田六文戦記~』第二文銭:潮風薩埵峠

真田一族には先祖代々、二極の性質が兄と弟に相分かつ。すなわち武勇の血と、智略の血である。源太の父・一徳斎は智略の将、その弟・源之助頼幸の叔父御は、武勇の将。源太の弟達にしても、次兄・兵部丞昌輝は武勇の将、三弟・安房守昌幸は智略の将。後の世…

『源太左衛門〜真田六文戦記〜』第一文銭:秋風川中島

落ち着いている。息が、である。未明、源太左衛門は登山をしていた。すなわち、夜陰に乗じて上杉本陣を奇襲すべく、裏手より妻女山を駆け登っていた。馬には轡を噛ませ、蹄は布で覆い、鎧兜は脱ぎ捨て篝火も焚かず、武田軍別動隊一万二千は密かに上杉軍本陣…