2018-11-01から1日間の記事一覧

徐晃伝 三十八『急転直下』

馬鳴閣の街道へ進出した蜀将・陳式は、軍師法正の戦略眼に感嘆した。 「主戦場より遥か北西、この馬鳴閣は漢中と中原を結ぶ喉元にあたる。 ・・・山険の攻防にばかり目を取られていたが、これは妙手よ」 敵と戦って討ち破るだけでなく、軍を迂回させ敵を包囲す…

徐晃伝 三十七『反攻の糸口』

徐晃。 一軍の将である。 漢中の険しい峰々を眺めやり、歯痒い思いを抱いていた。 (攻めの手が今一つ、掴め申さぬ・・・) 蜀の劉備との山岳戦は長期に及んでいた。 軍師・法正は執拗に魏軍の弱点を炙り出す巧みな采配で、徐々に、戦局の帰趨を掌握してゆく。…