徐晃伝 二十『南へ』
袁家残党を掃討すべく、曹操軍は中原を超えて砂漠の国々へ乗り込む。
徐晃は良く兵を率いて、時に計略を用いて敵を降し、時に苛烈な武を奮って敵を討ち、次々と武功を上げた。
数万の大軍を擁す賊徒・黒山衆、勇猛な騎馬民族・烏桓(うがん)の国を攻めて従え、ついには地の果てに袁家の血筋を根絶やしにした。
この間、五年もの歳月が流れた。
「武の頂きへは、今だ届かぬ・・・」
黄砂に覆われた戦場で、徐晃はその大斧に敵兵の血を浴び、まだ至らぬ遥かな高みへ思いを馳せた。
「だが、しかと見える。
拙者が目指す武の極み、曹操殿が統べる乱世の先にござろう」
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曹操に敵する勢力はもはや少ない。
いずれも地方の小豪族に過ぎない。
そして依る辺(べ)を持たぬ流浪の、劉備。
曹操の天下統一は時間の問題だった。
南へ。
徐晃は長駆し、号して八十万南征軍の中に天下平定の魁(さきがけ)と疾る。
徐晃伝 二十 終わり