徐晃伝 二十三『軍神・関羽』
徐晃と満寵は騎首を並べて、樊城を出撃した。
しかし、江陵の北道を封鎖し曹・孫の合戦を睨んでいた関羽は樊城の動きを見逃さず、一軍を率いて進撃を開始した。
「・・・計画通り。
まずは陽動に乗ってくれたね」
満寵は活き活きと、その脳裏に描いた軍略を進める。
「うむ。
では李通殿、後は手筈通りに。
江陵はお任せいたす!」
「承知した!」
江陵の曹仁を救うべく、将・李通が大隊を率いて援軍に向かう。
彼らが味方と合流し、無事撤退する時間を稼ぐためには、関羽率いる劉備軍は今しばし足止めする必要があった。
徐晃と満寵の一軍は進路を変え、踵(きびす)を返す。
狙うは関羽の軍勢、その側面へと横槍を突いた。
両軍は漢津(かんしん)の地で激突。
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劉備軍は予想外の方角から攻撃を受けて、浮き足立つ。
「ひるむな!隊列を整えよ!」
軍営から急ぎ駆け出て、将・関羽が指揮を執る。
戦場に翻る「徐」の旗印。
整然と陣形を成す敵軍の様を見て、関羽は嬉々として武人の滾(たぎ)りを感じた。
「・・・久しいな徐晃殿!
ここで一戦交えるというか・・・しからば過日の宿命、今日こそ果たさん!」
その雄姿を戦場に捉えて、徐晃は大斧を固く握りしめた。
「・・・満寵殿、しばし指揮はお預けいたす」
「任せてくれ。
徐晃殿、武運を祈る!」
「いざ!徐公明、参る!」
徐晃伝 二十三 終わり