メイキングオブ徐晃伝
私が三国志に熱中した最初のきっかけは、中学生の頃、友人宅で遊んだ『真・三國無双2』でした。
疾走感のある音楽、一騎当千と無双の爽快感、三国戦乱のスペクタクルと多くの魅力的な登場人物たち。
まったくの異文化にして全てが胸を熱くする、斬新で大きな衝撃を受けた記憶が残っています。
やがて『真・三國無双3』を購入し、とにかく熱中して家で一人でひたすら遊んでおりました。
学校に行っても、脳内では三國無双の事ばかり考えていた時期もありました。
三國無双との出会いは、中国史ひいては歴史全般に対する強い興味を惹かれたきっかけの一つになったと思います。
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高校生になると歴史を好む趣向はより顕著となり、とにかくたくさんの本を読みました。
中国史も十八史略から始まり、史記、そして三国志を詳しく知りました。
当時の無双シナリオはかなりの割合でゲームオリジナルであり、群雄たちの生涯とその最期、三国の行く末など、史実(あるいは原作の演義)を再現しない部分が多かったと感じます。
そのため三国志の、元々の物語を初めて通して読んだときの面白さには非常に大きな興奮と感動を覚えました。
ゲームを通じて断片的に知り得た情報の数々が、一つの物語を軸に次々と繋がり完成していく。
これほど面白くて、心から熱中できる事は他にありませんでした。
三国志、最高!
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大学でも歴史を学びましたが、専攻はドイツの軍事史だったこともあり数年間、三國無双も含め中華史から離れてしまった時期がありました。
もう新作を発売日に買うような情熱も何も、全く失っていた頃のことです。
ふと『真・三國無双6』が新しく発売するという情報を得て、懐かしいなぁと思いなんとなく、公式サイトにアクセスしてみました。
ページを開いた瞬間に流れ出したのは、重厚なギターリフと疾走感みなぎるベースライン、あの懐かしい思い出の日々、三國無双を象徴するかの如き鮮烈で痛快な、めちゃカッコいい~~BGMでした。
(ちなみに、♪呉郡攻略戦の曲でした。)
めちゃくちゃテンション上がった。
往時の記憶がまざまざと甦り、かつて他の何も考えられぬほど熱中した三國無双という神作品に対する熱い想いの数々が一瞬のうちに喚起され、あとはもう夢中になって食い入るように公式サイト上のあらゆる情報を閲覧しておりました。
買おっ!
こうして数年振りに衝動的に、三國無双の世界に復帰しました。
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満を持して世に出た最新作『真・三國無双6』は、期待に違わぬ最高傑作でした。
シネマティック一騎当千を謳うその圧倒的ボリュームのストーリーモードは、三国志演義の物語に今だかつてなく忠実に寄せた、いわば原作本来の重厚な人間ドラマ、群像劇に焦点を置きそのハイクオリティ映像美と痛快な臨場感溢れる演出を以って再現した革新的タイトルでした。
文字通り寝食を忘れて、数年来のブランクを埋めるようにひたすら熱中したものです。
この時、生涯を変える出会いがありました。
姓は徐、名は晃。字は公明。
魏の武将で、あまりこれといって残る特徴や印象的場面は無かったように感じます。
なんとなく、まぁ、いるよね。
ずっといる。
いるのは知ってるよ。
そんな存在でした。
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『真・三國無双6』というゲームで最強の武将は誰か?
それは徐晃です。
あくまでゲーム性能でというお話ですが、徐晃のC3→EX攻撃「武の頂が見える」は、自身に時限超絶耐性強化のスキルを付与し、難易度:修羅の呂布が繰り出すHPゴッソリ削り攻撃すら、ミリのダメージしか食らわないガチガチの堅物となる事が出来ました。
この特性はゲームバランスの崩壊をもたらすほど強力で、高難度レア武器の収集など、トロフィー・コンプリートを目指すプレイヤー達にとって徐晃の圧倒的武の頂きは革命的恩恵をもたらしたのです。
強キャラ厨というわけでもないので、もちろん物語も楽しみ色んな武将で一通りじっくりと遊んで、しかし最終的には効率が断然違ったので、とにかく徐晃を使って様々な高難度ミッションやクロニクルモードなど、徐晃と共に無双6を遊び尽くしました。
あまりにも強すぎたので『真・三國無双6 猛将伝』ではEX攻撃に下方修正が入り、武の頂から遠ざかってしまいますが、どうした事か、弱くなっても何となく徐晃、徐晃を使ってしまう自分がいる。
友人との2人プレイとか、レジェンドモードやチャレンジモード、誰か一人武将を使いましょうという場面で何となく、いつも徐晃を選んでしまう。
『真・三國無双7』では徐晃はもう強キャラでも何でもなくなりましたが、公式サイトのアクション動画ではまず真っ先に、徐晃を見に行ってしまう自分がいる。
徐々に、しかし気づいた頃には決定的に、徐晃は自分の中で無二の存在となっていたのです。
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徐晃の事蹟について、学びました。
総合的な三国志の作品ではあまり徐晃の出番は描かれないので、正史三国志原典の徐晃伝における洗練された短い情報を熟読し、それをベースとして三国志演義での設定の変化や活躍について熱心に調べて学習しました。
徐晃は、他の魏の華々しい活躍を飾る武将たちと比べると一見地味で目立ちません。
しかし徐晃は知れば知るほど、調べれば調べるほど非の打ち所がない。
長きに渡る三国の戦乱で少なくとも三十年以上は第一線で戦っていますが、ただの一度も負けがない。
これは曹操をして「孫武にも匹敵する」と称賛されたように、兵法の理に適った戦い方をしているからだと強く感じます。
私自身、高校生の頃に孫子の兵法と出会い、鮮烈な衝撃と多大な影響を受けました。
きっかけは歴史上の英雄たち、曹操はじめ武田信玄、ナポレオン、東郷平八郎に至るまで多くの賢人が孫子を重んじていた事から、原典に当たってみようと思ったためです。
そこに記された徹底的合理主義による実践的な問題解決思考は、古代の戦争のみならず人間社会のあらゆる事象に適用される、真理を説いていると感じました。
長年に渡り読み続け、少しずつ着実に人生観に取り入れて、今に至るまで孫子は自分にとって座右の書と思い愛読しています。
「戦わずして勝つ」
「まず勝ちて後に戦う」
「敵を知り己を知れば百戦して危うからず」
孫子兵法では様々な金言が語られますが、要点を絞って説くならまず無理をしないこと。
確実に勝てる状況を整えてから戦うこと、自軍が決して負けない状況を作ること、そのために徹底的な情報収集を重んじること。
徐晃の事蹟は、この条件を全て忠実になぞっていると感じます。
袁家との戦いで敵城を攻めず、理を説いて降伏させ、戦わずして勝った手腕。
襄樊での関羽との戦いでは不利な状況にあっては決して動かず、戦況の把握と友軍との連携に徹して、好機と見るや一転して攻めに転じたその戦い方。
他にも兵糧を焼く、渡河して敵の意表を突く、盟約を重んじて諸侯の手を借りる。
三國無双シリーズでひたすら筋トレに励み武の頂きを目指す、ともすれば脳筋ゴリラ武官とも取られかねないイメージとはかけ離れた、非常に冷静で智的な、それでいて将帥としての偉大さが、数々のエピソードから感じられます。
極め付けは、その清廉な人格でありましょう。
多くの武功を上げ、天下の大将軍として君臨するも決して驕らず「世の人は良い主君に恵まれない事を悩みとしている。拙者は曹操殿という素晴らしい主君に仕える事が出来て、これ以上の幸せはない。個人の功名など不要でござる」(魏志「張楽于張徐伝」)
「周亜夫の風格がある・・・」と曹操を敬服させたこの象徴的なエピソードからも、徐晃の誠実で廉直な人格が伝わって参ります。
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つい、長くなってしまいました。
ここまでお付き合い頂き、ありがとうございます。
題名に冠しました「メイキングオブ徐晃伝」ですが、当大河ブログで更新している『徐晃伝』についてその想いを語ろうと、前提から話し出したところ思いのほか長くなってしまいました。
すっかり、貴重なお時間を頂いてしまいました。
「文章を書きたいな」と思い、全く下手で素人でお恥ずかしい限りですが、今まで自分に欠けていた行動力、とりあえず書いて、下手でも世に出して、場数を踏んで整えて行こうと思い切って更新してみました。
初めのうちは溜め込んでた構想が多く整理出来ていたので、やりたい事を拙いながらもやれてたのかなと思います。
しかし最近は段々書きたい事の構想不足のまま書いてしまって芯が弱く、構成がぐだぐだになって来てしまいました。
あと更新ペースもやたら早過ぎた。
追えて読んでくれてる人がかなり少なくなってしまってる感じ。
反省しています。
物語中盤からは関羽と徐晃の因縁を描こうという意図が先行するあまり、形式だけ追って関羽の人物描写が足りず、徐晃がどんな意志で乱世を生き抜いているか、読み手が納得できるような中身が伴わなくて、内容が薄くなってると危機感を募らせています。
一旦、構成を見直してブラッシュアップして、内容を改めて参りたいという思いでいます。
その合間このように単発で、普通にブログっぽい文章も書いていっても良いのかな、と今回の更新に至った次第であります。
フォトモードの記事とかも書いてみようかな!
Twitterでもやってるけどね!
皆さん、いつも素晴らしい無双ツイートの数々をまことにありがとうございます。
三國無双、最高~~!!!
まとまりもなく書き連ねてしまいましたが、ここまで読んで頂き本当にありがとうございました。
今後とも何とぞ宜しくお願い致します。
メイキングオブ徐晃伝 終わり