徐晃伝 十六『修練の日々』

 

※この物語はフィクションです。

 


関羽との訣別を経て徐晃は、より一層の鍛錬に励んだ。

 

 

 

 

「拙者の武、兄者の志と共にある」

 

関羽の雄々しき言が頭の中に響く。

あの比類なき強さの源泉は、仁の志を支えんと決す強固な信念にある。

徐晃が往く武の頂き、その眼前に立ち塞がる巨大な壁の如き関羽の存在。

 

強大な敵であった。

 


「ソイヤッ!!」


徐晃はひたすら修練を積んだ。

 

 

目を瞑り、大斧を振るいながらその脳裏には関羽の幻影が疾る。

 

暗闇の中で激しく刃を合わせ、打ち合うこと数十合。

偃月刀を翻す雄姿が迫る。

 

「・・・!」

 

一手、遅れが生じ関羽の一撃が徐晃の身体を斬り裂いた。

 

何度も何度も、心眼の中で関羽に挑む。

 

どうあっても今一手、追いつかぬ速さの一撃が襲う。

強烈な信念に支えられた超越的な関羽の武が、徐晃の身体を何度も斬り裂いた。

 

「拙者の武、まだまだ高みへ遥かに届かぬ・・・!」

 

己に足りぬ武を省みて、何度も何度も修練の中に探し求める。

 

関羽の幻影はその刃に迷いなく、尋常ならざる太刀捌きで徐晃を襲う。

 

そのたびに徐晃は身を斬られ、学んだ。

学んだ一撃を次には切り抜けるが、その先に更なる一撃が徐晃の武を超えて襲い来る。

 

ただひたすら鍛錬に励んだ。

 

 

関羽の幻影と戦い続け、何度敗れてもなお徐晃は武の道を駆け昇る。

 

武の頂きは、関羽を超えたその先に見える。

 

 

 

偃月刀が煌めき、また徐晃の胴を斬り裂いた。

 

「・・・まだまだ!

関羽殿、もう一度でござる!」

 

徐晃は汗に濡れた腕に大斧を握り、ただひたすら鍛錬に励む。

 

 

 

 

徐晃伝 十六 終わり