徐晃伝 十四『白馬強襲』
徐晃は良く兵を率いて戦った。
袁紹軍の動きを見極め、右翼に敵の勢いあればこれを受け流し、左翼に敵が浮き足立てばこれを苛烈に攻め立てた。
兵を手足の如く動かす徐晃の采配は見事であった。
敵将・顔良も奮戦するが、この白馬の戦場に引きずり出された時点で軍師・荀攸の術中である。
陣形に一瞬の動揺が起きた。
徐晃はこの隙を見逃さない。
「関羽殿、今でござる!」
「承知!」
長柄の偃月刀を翻し関羽は、袁紹軍の戦列を突っ切って顔良の眼前に迫る。
青龍が唸るかの如く空気を劈(つんざ)き、一刀の下に斬り伏せた。
「敵将・顔良、関雲長が討ち取ったり!」
敵兵の動揺、自軍の士気の勢いを最大限に活かすは将たる徐晃の手腕。
「敵大将は関羽殿が討ち取り申した!
皆、奮い立て!今こそ敵陣を破るのだ!」
大勢は決した。
徐晃軍は初戦を制し、白馬の要衝を勝ち取った。
徐晃伝 十四 終わり