徐晃伝 七『武の頂』

 

※この物語はフィクションです。

 

徐晃は迷いを断ち、武人として覚醒した。

武の頂きへ駆け昇るべく己が信ずる道を邁進せん。

 

戦場を駆ける徐晃の眼には、長き雌伏の時を経て晴れ晴れと道が開き、新たなる景色が見えた。

「おお・・・武の頂きが見える!」

 

目覚ましい徐晃の奮戦、そして夏候惇、楽進于禁曹操軍の勇将の活躍により、楊奉軍は壊走した。

 

敗れた楊奉はせめて献帝を奪取して逃げようと目論むが、掌(てのひら)を返した董承は、楊奉を切り捨て、曹操に取り入るべく帝を楊奉に渡さなかった。

 

その後、楊奉は寿春の袁術を頼って落ち延びるが、やがて袁術の滅亡と共に最期を迎えることになる。 

 

 

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曹操は最大級の礼を尽くして、徐晃を将として迎え入れた。

 

曹操殿。一度は御身に刃を向けた拙者に対し、かような処遇を賜わった事、心より感謝いたす」

徐晃は深々と礼を述べた。

「これよりは、曹操殿の麾下の将として、この武を奮う所存にござる!」

 

 

威厳に満ちた曹操の声色は、一方で喜びを隠さず溌剌(はつらつ)とこう語った。

徐晃よ、お主の参陣を嬉しく思う。

その比類なき武勇、清廉な人品、まさに得難き逸材よ!

今後はこの曹孟徳の将として、勇戦してもらうぞ」

 

 

 

 

曹操が去った後、徐晃は満寵にも深く謝意を表した。 

「満寵殿、こたびの曹操殿への御口添え、まことにかたじけない。」

 

満寵は飄々と答える。

「おっと、礼を言われるよう事はしていない。

曹操殿の器量を考えれば、君が熱烈に歓迎されるのは自明のことだよ」

  

徐晃は、真の友を得たり。

 

曹操殿は、新しい時代を築く御方だ。

その分、進む道には厳しい戦いが待っているだろう」

満寵は険しい表情を浮かべる。

 

「承知した。

それでこそ、拙者も武の振るい甲斐があるというもの」

 

徐晃は決起し、拳(こぶし)を掲げて轟き叫ぶ。

「徐公明!

曹操殿の大志のため、この武を奮わん!

しかして、武の頂きへと至らん事を望む!」

 

満寵はいつもの屈託のない笑顔を見せた。

「ははっ、期待通りの反応をありがとう、徐晃殿。

これからは共に戦う仲間として、よろしく頼むよ」

 

 二人は今、志を同じくする。

 

 

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許昌に居を構えた徐晃は、やがて故郷の家族を呼び寄せた。


初老の父母、地元の士に嫁いだ妹もその一族と共に許昌に越した。

「父上、母上・・・長らくまみえる事無く、不孝を致し申した。
これよりは許昌にて、安穏と暮らして頂けますよう」

 


また徐晃を慕って付いてきた白波の兵達も、許昌近郊で新しい暮らしを始めた。

 

屯田制である。

 

曹操は献策に従い、広く農地を兵に与えて開墾させ、食糧自給による安定した生活を彼らに保証した。

と同時に堅実な税収を確立し、富国強兵に充てたのである。

 

「これで兵達もまともに畑を耕し、賊に落ちぶれる事もない。

曹操殿は武略のみならず、政略にも優れておられる。

まこと乱世を統べて新しい時代を拓く御方よ」

 


真に仕えるべき主君を見つけたと感じる。

 

この新天地で、遥か高みに見える武の頂きへ。

  

徐晃曹操のもとで新しい人生を歩み始めた。

 

 

 

 

徐晃伝 七 終わり